tikuson

(本)ユーザ中心ウェブビジネス戦略-顧客心理をとらえ成果を上げるプロセスと理念-ビービット

普段の私の仕事はインターネットの特にアフィリエイト広告のコンサルティングをしていて、ちょいちょい企業サイトを見ていたが、特に意識もせずにいた。

アフィリエイト広告の場合、どの媒体でターゲット層にどうアプローチするかという媒体選定であったり、いかにユーザにクリックさせるバナーにするか?というクリエイティブ視点で考えることはよくあったが、企業サイトへの流入させるための導線改善という狭い視野に陥る傾向にあった。

企業サイトの改善(資料請求への導線や申込フォームの最適化、サイト内情報の充実)に対するコンサルティングは、ハードルが高く、自身に知見がないため、疎かになってしまいがちであった。

そんな中、本屋でみかけたのが上の本である。インターネットコンサルティング会社のビービットが出版しており、ユーザを中心としたサイト設計や行動心理学を踏まえたサイトコンセプトの立案から運用までの一連のプロセスが、実際の事例をもとに具体的に書かれている。

ビービットだけに、この本にびびっと感じて(笑)早速買って読んだので紹介する。

 

ユーザ中心ウェブビジネス戦略とは?

 

絶えず変化する人々の行動やニーズを把握し、インターネットを通じた企業の収益機会を実現する

ユーザを正しく知ることで成果をもたらすことを重要であり、そのためにウェブビジネスはどうあるべきかという基本的な考えが最初に書かれている。

ユーザを中心に据えて、ユーザの視点からサイトコンセプトの立案、コミュニケーション設計、デザイン、開発、運用という一連のプロセスを、『ユーザ中心設計手法』という方法論を事例とともに紹介しており、ユーザにとっての価値とウェブサイトが提供できる価値を適合させていくことが、ユーザ中心の本質であると捉えている。

    • サイトの目的は何ですか?
    • サイトのターゲットユーザは誰ですか?
    • ユーザのニーズは何ですか?
    • ユーザは普段どんなときにあなたのサイトを使いますか?
    • ユーザはどんな情報をどういう順番で求めていますか?
    • ユーザの心理状態はどのような状態にありますか?(『焦っている』『不安に思っている』など)
    • 上記ユーザの状態を受けたサイト側の対応方針は?
    • 次の発展に向けた課題は?
    • リニューアルで目に見える成果が上がりましたか?

ウェブサイトを運営している人で、上記質問に対して、明確に答えられる人は少ない。徹底したユーザ理解が成功の秘訣であり、ユーザを把握した上でのコミュニケーション設計や、事前の仮説検証、事後の効果検証というプロセスが重要であるという点が印象的である。

 

さらにソーシャルメディアについて書かれた項目の中で、ソーシャルメディアは単なる拡散装置にすぎず、重要なのは『これを誰かに教えてあげたい』と思わせるほどの感動を与えるコンテンツであるという視点が面白い。

たしかに、FacebookやTwitterは拡散させる手段だけであって、その手段ばかりに気を取られ、肝心のコンテンツがおろそかになっていては意味がない。本質は、ユーザが周りの人に紹介したくなるコンテンツを提供することであり、そのコンテンツが感動するものであったら、勝手にユーザが拡散してくれる。

よくFacebookで感動系や笑ったらシェアなどの記事がウォールに流れてくるが、これはつい紹介したくなるコンテンツがあるからであり、シェアすることで友達と気持ちを共有したいという思いから拡散されていくのだと思う。

 

行動観察手法について

ユーザ中心のサイトを設計させるためには、ユーザ理解が必要であるが、直接ユーザにニーズをヒアリングしてはいけない。ユーザは自身のニーズを言語化できない場合が多く、主観的な意見をパッと思いついて発したことをもとにサイトを改善すると、成果に繋がらないことがある。

この本では、実際にユーザと会話をしながらサイトを使ってもらい、その時の行動や感じたことをもとにPDCAサイクルをまわして改善していく事例が紹介されている。つまり、事実をもとに検証しているのである。

明確な目的をもってサイトにくるユーザもいれば、なんとなく欲しい情報がないか探しにくるユーザ等、ユーザのニーズは多様化しており、すべてのニーズに答えようとしてはいけない。ターゲットを絞り、優先順位をつけることが重要である。

 

著者と大手企業の担当者とのインタビュー記事も随所に書かれており、非常に参考になる内容になっている。本書は300ページほどとなっているが、1ページ1ページムダなく、非常に質の高い本だと感じたし、手元に置いてなんども繰り返して読むことで理解が深まると思う。

普段の仕事でも、競合会社との申込フォームの入力から完結までの所要時間や入力項目の内容などを調べて、一歩踏み入ったコンサルティングができるよう、視野を広げていきたい。

実際の現場で使える方法論を惜しみなく紹介しており、ここまでノウハウが凝縮された本は久しぶりに出会えたのではないかと思う。非常にオススメの一冊なので、ウェブに関わる仕事をしている人は必見です!

 

2013/08/03 |

コメント/トラックバック

トラックバック用URL:

この投稿のコメント・トラックバックRSS




管理人にのみ公開されます

*

関連記事

オススメ記事

【相関と因果】料理とビジネスの関係について

相関関係と因果関係について熱く語るシリーズ。 第1弾は【料理とビジネス】 そもそも、相関関係ってなんじゃいって言うと、 例)①寒ければ寒いほど、ホッカイロが売れる ②寒ければ寒いほど、マフラーが売れる...

続きを見る

【書感】スタバで読んだ5つの本

夜9時くらいから、久しぶりにスタバに本を読みに行きました。このスタバは、マイフェイバリット・スタバで、他のスタバとは一線を画しています。 なぜなら、TSUTAYAと合体していて、スタバでくつろぎながら...

続きを見る

コーヒーミーティング in co-ba

            昨日はコーヒーミーティングに初参加しました。 場所はco-ba libraryで、好きな本について語り合うというコン...

続きを見る

お金=∞ 時間=有限

            入社するまでに、何をすればいいのかって、もし後輩に聞かれたら、まずは、ショートカットキーを覚えることが必要だと思って...

続きを見る

同窓会のジレンマ〜働き方の多様性と自身への問い〜

Facebookユーザ増加に伴い、昔の友人と容易に繋がることができ、連絡をとったり、小学校や中学校の同窓会をするなどのイベントが増えたのではないでしょうか? Facebookでイベントのグループを作っ...

続きを見る